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2007年03月07日
直売の包装形態を考える
たまごの直売に包装形態は重要です。
なぜなら、卵は世界共通の「カタチ」をしていますから、
包装容器で個性を出すことが容易であり、合理的な方法です。
たまご直売所で現在多いのは、ネット包装ですね。
非常に理にかなった包装形態と思います。
ポリ袋も素朴感や割安感がありますが、
ネット包装は通気性がよく、収縮により卵が固定されるので、
輸送時の破損も軽減されますし、
お客様が手に取ったときの安心感がいいですね。
なにより「手作り」のイメージが強調できます。
赤玉は、赤色や茶色のネットを使用することにより、
視覚の錯覚で、卵の色ムラが消える効果もあります。
色ムラはあったほうが自然を強調できて良いという考え方もあります。
赤・白・ピンクをさらにサイズも無作為に詰め合わす工夫もよく見かけます。
また、通気性を無くし密閉したほうがハウユニットの成績が良い。
万が一割れてもポリ袋なら周りを汚さない。
など、ネット否定派の意見もあります。ごもっともです。
でも、できれば量販店と同じ10個のレギュラーパック、
いわゆるゴク普通のパックは避けたいですね。
貴店の卵が値段の安さ勝負なら良いのですが、
鮮度とか内容を重視した卵なら量販店の包装形態を採用することにより、
お客様の思考は量販店との比較になってしまいます。
どんなに良い卵でも、特売の1パック100円に思考が引っ張られてしまいます。
もちろん、そんなことは一切無い「うちのたまごはお客様がわかってくれている」
と言う直売店さんは気にすることはありません。
お続け下さい、すでに商売が完成しているのですから。
そこまで行くのに皆さん苦労しているのです。
とくに「うち」で販売するには「うち」という箱が「直売所=量販店ではない」と
お客様が判断するので、包装容器にこだわる必要はないのかもしれません。
問題は「うち」から外に出した時なのです。
農産物直販所は近年大流行で、全国的に増え、そして定着してきました。
農協系主導が多いのはあたりまえですが、
最近では道の駅や観光施設に併設されたり、個人で開設されたりもしています。
共同の農産物直販所では、いく人もの生産者がいくつも同じ品物を並べます。
そこには競争原理が働きます。当然です。
お客様に比較されるわけですから、みかんやぶどうのように、
少しずつ小分けできるものは試食品を添えることができますが、
卵はそうはいきません。
せいぜい、器に割って入れ黄身の色や白身の状態を見せる程度です。
それだけでも随分違うと思いますが、やっぱり「顔」が重要になります。
普通の10個パックとネット卵8個が同じ値段でもネット卵を選ぶでしょう。
なぜなら、お客様は直売所に量販店と同じものを買いに来ているのではないからです。
ここが、重要なポイントです。
野菜や果物は量販店より安いものを直売所で購入するのに、
なぜか、卵は量販店より高いものを選択するのです。
量販店より高い卵しか置いていないということも事実ですが、
ならば、売れないかといえば売れるているのが事実です。
消費者は、直売所で卵を買うとき、野菜や果物を買う思考から、
卵や漬物を買う思考は異なるのだと思います。
卵や漬物を買うときは鮮度や手作りの「良さ」を思考して購入するのだと思います。
卵と漬物を一緒に考えるには比較対照にあわないかもしれませんが、
漬物は農家のお母さんの手作りのおいしさや無添加を期待して購入します。
けっして量販店の漬物と比較して安いことはありませんし、
日持ちがしないことも承知の上で買っています。
直売の卵もそういう「手作り感」で購入されているのだと思います。
だから、量販店と同じような工場製のイメージがなるべく無いような包装形態が
良いように思います。
どの包装形態でも一長一短ありますし、今まで包装してきたスタイルが定着して、
その姿が、いわゆる「顔」になっていることと思います。
それで、売り上げが安定しており、上向き加減なら、その「顔」を守りましょう。
最近良く似た「顔(カタチ)」が増えてきて紛らわしいとか、
売り上げに、ややかげりが出てきたので、
この辺で新しいスタイルにもチャレンジしようかと、
お考えの場合は、一気に切り替えず、いまの「顔」をしばらく続けながら、
新製品としていろいろと試してみて下さい。
包装容器メーカーには様々なカタチの容器が準備されています。
おもに、異形容器は特殊卵を目的に準備されていますが、
そのなかでも量産の特殊卵向けには、当然GP作業効率を考慮した、
いわゆる生産ラインに合う容器で、一般的には、10個・6個の容器です。
少量の特殊卵向け容器は「差別化」が大前提ですから、
生産ラインは二の次にした、手作業が必要な容器も少なくありません。
この手作業が必要な容器こそが直売所さんには適した容器ともいえます。
GPセンター、特に大規模になるほど手作業を避けたがります。
必然的にそれらの容器は量販店に出回りにくい容器となります。
たとえば、卵形とか15個とか3個もそうです。
簡単に言うと10個・6個を避ければ、量販店との差別化は容易です。
10個・6個もモウルド容器を使うことは有効ですが、
モウルド容器はあまりにも高級感がありすぎるし、実際容器も高価です。
ここは、まさにケース・バイ・ケースの選択ですね。
逆に、GPセンター(問屋)さんがネット卵をつくって量販店に置いています。
人海戦術で手作りで苦労して作っています。
それでも対応するのは量販店からの品揃えの要望もありますが、
高く(適正価格)で売れるからでもあります。
これは、鶏卵問屋さんが直売所の工夫を参考にした例ではないでしょうか、
でもGPセンターで作るネット卵には彼らならではの工夫があります。
それは、カップを使用してネットに入れていることです。
カップ代はネットの2倍以上、つまり包装費用は3倍以上かかりますが、
その単価に相当する、作業のしやすさや、物流時や店頭での破損の回避、
量販店からのクレームに対する、いわゆる保険的な費用は十分に対価するのです。
これは、是非、直売所さんでも採用をご検討下さい。
「たまご企画室」の得意とする分野の容器でもあります。
投稿者 Melody : 2007年03月07日 09:39