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2007年03月30日
商品開発の考え方
農産物直販ブームはまだまだ続いています。
さすがに、店舗数が急増している状態はおちつきましたが、
お店の質が向上しつつあります。
農協系共同直販所は駐車場の再整備や、
什器の拡充などしっかりと経費をかけてきます。
香川県農協は「産直サンバ」なるテーマソングを作って、
テレビCMを放映するほどです。
生産者も、消費者も、主催者も、笑顔になれる
農産物直売所、でも一昔前にはあまりなかったこのお店、
今、誰かがダメージを受けているのかな?量販店かな?
八百屋さんかな?この辺のデーターは無いようですね。
でも、量販店はさすが、販売のプロ。
農産物直売所が流行になると、店内の一角にそういうコーナーを
いともも簡単に作ってしまいます。
先般消費者の飽き易い行動分析をテーマに書きましたが。
今回は消費者を相手に戦略を立てる広告業界のある法則を書きます。
商品開発や、宣伝方法の参考になればと思います。
「アイドマの法則」ですが正式には「AIDOMAの法則」です。
アルファベットである意味をこれから説明します。
それぞれの頭文字を取っています。
Attention・・・注意
正確には、attract attention、注意を引くですね。
まず消費者の注意を引くことです。「度肝を抜く」というやつです。
卵のネーミングや、パッケージの写真、パッケージそのもの、
なんでもいいから、まず注意を引かすことが第1歩。
お店の中の光景でシュミレーションするならば、
まず立ち止まらせることです。
Interest・・・興味
次は、興味を引かします。
注意を引かすのと同じように、周りと同化しているようでは、
消費者の興味は引けません。なにか一工夫二工夫が必要です。
立ち止まったお客さんが思わず商品を手にすることの工夫です。
Desire ・・・欲求
そして欲求をおこさせる。
注意させて、興味をひかしたお客様の
欲求を起こさせます。満たすことができれば最高です。
といっても顧客のもとめる欲求は千差万別です。
ここが一番難しいところです。
ようは、お客さんに「この商品が欲しい」と思わせる
「何か」が必要なのです。
Memory・・・記憶
脳に心に記憶してもらいます。
つまり記憶させることのできる商品でなくてはなりません。
欲求を満たすことができれば、
記憶させることはさほど難しくは無いかもしれません。
Action・・・行動
最後は、お客様に行動していただく行為、
すなわち、商品を買っていただくことです。
この目的のために、AIDOMがありました。
結論を言ってしまえば、
他に無い良い商品をつりなさいと言うことですが、
それぞれの目的を分析し、織り込んでいけばよい商品ができます。
これは、ほんの一例です。
まず注意を引くためのネーミング「紅白卵合戦」
もちろん年末から年始の紅白歌合戦が話題になっている時期が発売日です。
それ以外の時期でしたら、注意の度合いが低くなります。
店頭で、この商品名のPOPと容器をを見たら思わず立ち止まりませんか?
時期的に卵も日持ちもしますし、年末なら買いだめ期でもありますので、
20個くらいの容器がいいですね。そこに赤玉と白玉を10個ずつ包装します。
5個並び4列の容器で両端1列は赤・白分揃えて入れて、
中間列は赤・白混ぜてまさに赤・白が合戦しているように見立てます。
2色の卵がたっぷり20個入っていることで、お客様は興味津々です。
大きい容器ですから手にとってはもらいにくいかもしれませんが、
歩いていると決して読み取れないPOPやラベルにかおを近づけ小さな文字に目をやり、
この卵の説明を見るでしょう。
その際に、エサや飼い方や管理の方法、栄養強化などの特徴を見て、
「良い卵」と判断し、お客様の購買目的に合っているならば、
「欲しい」という気持ちになってくれるでしょう。
年末・年始にだけ売る商品と決めておけば「期間限定」を謳えます。
この「期間限定」はお客様の欲求を十分に引き出す名文句でしょう。
ここまで来ればお客様は十二分に記憶してくれています。
しかし、ここまでのプロローグの間に記憶させる材料があったことを
おさらいしておきましょう。
まずPOP、手作りでも良いので商品POPは重要です。
できれば、店頭チラシも小さいものでいいですから準備したいですね。
そして商品ラベル、商品の顔です。なければ単なる特売の商品になってしまいます。
さらに、見慣れぬ20個の容器、これもカタチとしてお客様の脳に記憶されています。
もし今日買ってくれないとしても、この記憶が、明日のお客様の購買行動につながります。
実は、ここが重要なのです。今日はまだ卵があるから、
次ぎ買う日はこの卵を買おうと記憶してもらうことがポイントなのです。
そしてお買い上げいただきました。
投稿者 Melody : 15:33
2007年03月22日
商品サイクル
消費者は浮気者?
消費者は飽きやすい?
消費者は忘れやすい?
消費者はみんなそうです。
私もそうです。みなさんもそうではないでしょうか?
いつものお茶を買うつもりで、お店の棚の前に立ち、
いつものI社のお茶に手を伸ばそうとした時、
ふと、その隣に見慣れぬ姿のS社の新製品、
なにやら「おいしい」とか「こだわり」とか、
「よりすぐりの」「健康に・・・」「新鮮な・・・」など等の、
小さいながら心を引く文字が目に入り、価格を見ると変わらない、
ならば、今回はS社の新製品を試してみよう。
この心理は誰もが経験しているのですが、
不思議なことに、その瞬間のことや、いままでの記憶が消え、
次回は、そのS社の新製品に自然に手が伸びているのです。
もう、以前の好みのI社のお茶なんて忘れてしまっているのです。
好みのI社のお茶は舌に慣れて安心感はあったのですが、
新しいS社のお茶はその慣れた舌を十二分に刺激し、
異なるおいしさを記憶させてしまったのです。
実際には大差はないのですが・・・
でもまた、同じことが繰り返されます。
こんどは、飲み慣れたS社のお茶の隣に、
I社の新製品が並び、同様にその新製品を手に取り、
また、しばらくI社のお茶を購入するのでした。
卵とて同じことです。
いえ、卵こそ味の差は微妙で、イメージが大切なのです。
直売の卵が量販店より高値で販売されているのは、
ある意味、イメージ的な部分もあります。
いつもの共同直売所で、
いつもの卵を買おうとレジカゴにまで入れていたのに、
別の棚でなにやら新しい卵を発見!!「ごま」を飼料に添加した卵らしい。
ブームである「ごま」に反応したお客様、
生産者をしっかり確認して「あ~以前に買っていた生産者だわ、ならなお安心」。
さっそく、レジカゴの中のいつもの卵を元に戻して、あたらしい「ごまたまご」を購入。
本当によくある話です。
極端な例は容器を変えただけで、品名を変えただけでもこの現象は現れます。
ただし、新しい商品を出すときも必ず従来の商品は継続させます。
当然ですが、歴史は重く、ブランドは高く、長年愛されている商品は、
お客様の間に根付いていますから、なくすことはできません。
量が少なくなっても看板として残しておくことが重要です。
本当に販売量が僅かになって、それに変わる看板商品が出来上がったときには、
効率を考えて無くすことが合理的かもしれません。
お得意様が遠路はるばる貴方の直売所を目指して、
車で走っている途中に、なにやら新しい卵の直販所?
「うみたてたまご」「こだわりの自然卵」「平飼い有精卵」の
のぼり旗がたなびいて、窓ガラスの向こうには、
何種類もの卵が並んでいる様子が見えます。
直売所で卵を買うお客様は、好奇心旺盛です。
必ずと言っていいほどチェックのために入店してしまいます。
今日はここで買って帰ろうか・・・そうです。
お得意様一人取られてしまいました。
この対策は一つ高度な技を使う必要があります。
途中のライバル店を通り過ぎて来店してもらう工夫がいります。
最近流行のポイントサービスが代表的ですが、
サービス券でも、無料券でもなんでも良いのです。
とにかく次回ご来店特典を常に準備しておくことです。
お買い上げ時に進呈しても良いし、商品に添付しておく方法もあります。
日頃から、お客様名簿があればダイレクトメールも有効ですし、
ホームページからのクーポンもいいですね。
もちろん、競合店に負けない品揃えや、にぎやかさも忘れてはなりません。
なにより、お得意様としての待遇を忘れてはなりません。
常連さんには特に接客時に優越感をサービスとして提供して下さい。
何回も買いに来ているのに知らんぷりでは、
他店に行ってくださいと言っているようなものです。
いままでは、この他店が少なく、
競合なんて気にすることはなかったでしょうか、
これからはそうも行きません。
実店舗が近くになくても、インターネット上に
バーチャルショップは毎日のように増え続けています。
今は、まだ送料の壁を越えられないので、
足踏みしていますが、もうすぐ近くにまで押し寄せてきています。
たまごの直売もあの手、この手が必要な時期になりました。
猫の手を借りるくらい忙しくなりたいですね。
投稿者 Melody : 11:42
2007年03月07日
直売の包装形態を考える
たまごの直売に包装形態は重要です。
なぜなら、卵は世界共通の「カタチ」をしていますから、
包装容器で個性を出すことが容易であり、合理的な方法です。
たまご直売所で現在多いのは、ネット包装ですね。
非常に理にかなった包装形態と思います。
ポリ袋も素朴感や割安感がありますが、
ネット包装は通気性がよく、収縮により卵が固定されるので、
輸送時の破損も軽減されますし、
お客様が手に取ったときの安心感がいいですね。
なにより「手作り」のイメージが強調できます。
赤玉は、赤色や茶色のネットを使用することにより、
視覚の錯覚で、卵の色ムラが消える効果もあります。
色ムラはあったほうが自然を強調できて良いという考え方もあります。
赤・白・ピンクをさらにサイズも無作為に詰め合わす工夫もよく見かけます。
また、通気性を無くし密閉したほうがハウユニットの成績が良い。
万が一割れてもポリ袋なら周りを汚さない。
など、ネット否定派の意見もあります。ごもっともです。
でも、できれば量販店と同じ10個のレギュラーパック、
いわゆるゴク普通のパックは避けたいですね。
貴店の卵が値段の安さ勝負なら良いのですが、
鮮度とか内容を重視した卵なら量販店の包装形態を採用することにより、
お客様の思考は量販店との比較になってしまいます。
どんなに良い卵でも、特売の1パック100円に思考が引っ張られてしまいます。
もちろん、そんなことは一切無い「うちのたまごはお客様がわかってくれている」
と言う直売店さんは気にすることはありません。
お続け下さい、すでに商売が完成しているのですから。
そこまで行くのに皆さん苦労しているのです。
とくに「うち」で販売するには「うち」という箱が「直売所=量販店ではない」と
お客様が判断するので、包装容器にこだわる必要はないのかもしれません。
問題は「うち」から外に出した時なのです。
農産物直販所は近年大流行で、全国的に増え、そして定着してきました。
農協系主導が多いのはあたりまえですが、
最近では道の駅や観光施設に併設されたり、個人で開設されたりもしています。
共同の農産物直販所では、いく人もの生産者がいくつも同じ品物を並べます。
そこには競争原理が働きます。当然です。
お客様に比較されるわけですから、みかんやぶどうのように、
少しずつ小分けできるものは試食品を添えることができますが、
卵はそうはいきません。
せいぜい、器に割って入れ黄身の色や白身の状態を見せる程度です。
それだけでも随分違うと思いますが、やっぱり「顔」が重要になります。
普通の10個パックとネット卵8個が同じ値段でもネット卵を選ぶでしょう。
なぜなら、お客様は直売所に量販店と同じものを買いに来ているのではないからです。
ここが、重要なポイントです。
野菜や果物は量販店より安いものを直売所で購入するのに、
なぜか、卵は量販店より高いものを選択するのです。
量販店より高い卵しか置いていないということも事実ですが、
ならば、売れないかといえば売れるているのが事実です。
消費者は、直売所で卵を買うとき、野菜や果物を買う思考から、
卵や漬物を買う思考は異なるのだと思います。
卵や漬物を買うときは鮮度や手作りの「良さ」を思考して購入するのだと思います。
卵と漬物を一緒に考えるには比較対照にあわないかもしれませんが、
漬物は農家のお母さんの手作りのおいしさや無添加を期待して購入します。
けっして量販店の漬物と比較して安いことはありませんし、
日持ちがしないことも承知の上で買っています。
直売の卵もそういう「手作り感」で購入されているのだと思います。
だから、量販店と同じような工場製のイメージがなるべく無いような包装形態が
良いように思います。
どの包装形態でも一長一短ありますし、今まで包装してきたスタイルが定着して、
その姿が、いわゆる「顔」になっていることと思います。
それで、売り上げが安定しており、上向き加減なら、その「顔」を守りましょう。
最近良く似た「顔(カタチ)」が増えてきて紛らわしいとか、
売り上げに、ややかげりが出てきたので、
この辺で新しいスタイルにもチャレンジしようかと、
お考えの場合は、一気に切り替えず、いまの「顔」をしばらく続けながら、
新製品としていろいろと試してみて下さい。
包装容器メーカーには様々なカタチの容器が準備されています。
おもに、異形容器は特殊卵を目的に準備されていますが、
そのなかでも量産の特殊卵向けには、当然GP作業効率を考慮した、
いわゆる生産ラインに合う容器で、一般的には、10個・6個の容器です。
少量の特殊卵向け容器は「差別化」が大前提ですから、
生産ラインは二の次にした、手作業が必要な容器も少なくありません。
この手作業が必要な容器こそが直売所さんには適した容器ともいえます。
GPセンター、特に大規模になるほど手作業を避けたがります。
必然的にそれらの容器は量販店に出回りにくい容器となります。
たとえば、卵形とか15個とか3個もそうです。
簡単に言うと10個・6個を避ければ、量販店との差別化は容易です。
10個・6個もモウルド容器を使うことは有効ですが、
モウルド容器はあまりにも高級感がありすぎるし、実際容器も高価です。
ここは、まさにケース・バイ・ケースの選択ですね。
逆に、GPセンター(問屋)さんがネット卵をつくって量販店に置いています。
人海戦術で手作りで苦労して作っています。
それでも対応するのは量販店からの品揃えの要望もありますが、
高く(適正価格)で売れるからでもあります。
これは、鶏卵問屋さんが直売所の工夫を参考にした例ではないでしょうか、
でもGPセンターで作るネット卵には彼らならではの工夫があります。
それは、カップを使用してネットに入れていることです。
カップ代はネットの2倍以上、つまり包装費用は3倍以上かかりますが、
その単価に相当する、作業のしやすさや、物流時や店頭での破損の回避、
量販店からのクレームに対する、いわゆる保険的な費用は十分に対価するのです。
これは、是非、直売所さんでも採用をご検討下さい。
「たまご企画室」の得意とする分野の容器でもあります。
投稿者 Melody : 09:39
2007年03月06日
たまごの直売・・・不思議な商流
野菜や果物、花など農産物の直売は量販店より安いのが当たり前です。
でも、なぜか卵や、牛乳や肉などの畜産品は逆です。
直売所の方が量販店より高値で販売されています。
野菜や果物は量販店ではきれいに包装され大きさが整えられて規格化され、
一方直売所では包装を省き、大きさも不ぞろいで、どちらかというと、
大きすぎたり、小さすぎたり、異形だったりします。だから安いのです。
でも卵も結構MS~Sの小玉だったりLL以上の大玉もよく見かけますし、
包装形態はネットだったりポリ袋だったりします。
どう贔屓目に見ても量販店の特殊卵のほうが包装費はかかっています。
でも直販所の卵は高値で販売されているのです。
鮮度は、野菜や果物も卵も変わらないはずなのに・・・不思議な商流です。
投稿者 Melody : 11:18